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第13章 陽の当たらない世界

リビングへぞろぞろと移動する。
和やかな空気は一転して、重くなり、皆の心配そうな目つきが、賢也へと集中する。
言い逃れることは、恐らく出来ないだろう。賢也は、諦めたように息を吐くと、グラスに水を注いで、一気に流し込んだ。

「真紀と一緒にいることを嗅ぎつけて親父が、接触してきた」

賢也の言葉に、男たちの顔色が変わった。

「マジかよ」

「ああ。俺を引き込むチャンスをずっと狙っていたらしい」

「まさか、親父の仕事」

賢也は、指で自分の首をガリガリかきながら「ああ」と小さく答えた。
あれほど嫌がっていたのに、その世界に足を踏み入れてしまった。恐らく、真紀やその家族を守るため、やもを得ない選択だったに違いない。誰も言葉を発しない。
しばらく続いた沈黙を破ったのは、何も知らない千佐子だった。

「お父さんが、接触しって。何が悪いの？親子なのに、どうして皆、そんな難しい顔するの？」

不思議そうな顔で男たちを見渡している。

「普通の親なら、何の問題もないよ」

「うん？」