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危険な香りに誘われて
第2章 7年後
知らん顔すればいい。真紀は、動揺を沈めようとビールを口に含んだ。
苦みだけが口に広がる。
玄関から聞こえてくる話し声やドアの閉まる音に、どうしても意識がいく。
真里に、お好み焼き、もう出来たんじゃないと声を掛けられるまで、ずっと玄関でのやり取りに聞き耳を立てていた。
「真紀ちゃん、こげちゃうよ」
「あっ、はい」
慌てて、お好み焼きをひっくり返した。
焼きあがったお好みにソース、マヨネーズを塗り粉鰹と花鰹をかけていると。
「うまそう」
その声を聞いて、真紀の体が小さく跳ねた。
「お前、めっちゃ良いタイミングで来るよな」
真理が笑って、こっちこいよと手招きする。賢也は、当たり前のように真紀の隣に腰を下ろした。
「鼻がきくんだよ」
「まぁいいや。お前も飲むか?」
真理が、ビール瓶を手にすると、賢也は、軽く断りの手を上げた。
「車なんだ」
「んじゃあ、ノンアルにしとけ」
真理が立ちあがり千佐子のいるキッチンへ向かう。真紀は、心の中で、二人にしないでと叫んでいた。
「よお、久しぶり」
気さくに笑いかけてくる賢也に、真紀は、視線だけを向けた。
「今回は、久しぶりでいいだろ?俺のこと覚えていないのか?」
「忘れる訳ないよ。船上で、同じセリフを言ってきたじゃない」
真紀は、プイッとそっぽを向いた。
苦みだけが口に広がる。
玄関から聞こえてくる話し声やドアの閉まる音に、どうしても意識がいく。
真里に、お好み焼き、もう出来たんじゃないと声を掛けられるまで、ずっと玄関でのやり取りに聞き耳を立てていた。
「真紀ちゃん、こげちゃうよ」
「あっ、はい」
慌てて、お好み焼きをひっくり返した。
焼きあがったお好みにソース、マヨネーズを塗り粉鰹と花鰹をかけていると。
「うまそう」
その声を聞いて、真紀の体が小さく跳ねた。
「お前、めっちゃ良いタイミングで来るよな」
真理が笑って、こっちこいよと手招きする。賢也は、当たり前のように真紀の隣に腰を下ろした。
「鼻がきくんだよ」
「まぁいいや。お前も飲むか?」
真理が、ビール瓶を手にすると、賢也は、軽く断りの手を上げた。
「車なんだ」
「んじゃあ、ノンアルにしとけ」
真理が立ちあがり千佐子のいるキッチンへ向かう。真紀は、心の中で、二人にしないでと叫んでいた。
「よお、久しぶり」
気さくに笑いかけてくる賢也に、真紀は、視線だけを向けた。
「今回は、久しぶりでいいだろ?俺のこと覚えていないのか?」
「忘れる訳ないよ。船上で、同じセリフを言ってきたじゃない」
真紀は、プイッとそっぽを向いた。