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危険な香りに誘われて
第2章 7年後
どうでもいい女は、簡単に落ちるのに、どうしてこいつだけは、思い通りにならないのだろう。再会した、あの日もそうだった。



真理たちの船上結婚式。その席で、賢也は、幻を見ているのではないかと、目を凝らした。
彼女だ!
そう思った時には、もう足が動いていた。

退院するまでに2ヶ月掛かって、それから何度もあの田舎へ足を運んだ。
お前をずっと探していたんだって言ったら驚くだろうか。
手掛かりは名前と白襟のセーラー服しかなく、結局見つけられずにいた。

自分の可愛い天使が目の前にいる。
夢の中に現れる可愛い女は、手を伸ばそうとするといつも消えてしまった。
これは、夢じゃないよな。

7年経って、再び自分の前に現れた真紀を見て、賢也は不思議な縁を感じた。
まさに、合縁奇縁だ。


会いたかった。
今すぐ、ここからさらって二人っきりになりたい。賢也は、そんな衝動を必死で堪え。

「俺を覚えているか」

期待を込めて聞いた。

「えっ」

「本当、久しぶりだよな」


真紀は、突然馴れ馴れしく声を掛けてきた男に、警戒心たっぷりの目を向けた。
千佐子から真理の悪友たちの話は聞いている。
三人ともとんでもない軽い男で女を引っかけて遊びまくっているから気をつけてね。近寄っちゃだめだからね、と何度も口を酸っぱくして言われていた。

「初めまして、ですよね」

賢也は、目を丸くさせ、抱き締めたら壊れそうなほど小さな真紀を見つめた。

「覚えてないのか」


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