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危険な香りに誘われて
第15章 明けない夜はない
だからって、何してもいいのか?
騙された奴が悪い?そんなことないだろう。騙す奴は、もっと悪い。
人を騙したり、脅したり、売春させて金を稼ぐ、そんな事をしている奴らを正当化するのは、おかしいだろう。膝の上に置いた拳に力が入る。

「お待たせいたしました」

女将が、従業員と一緒にうな重を持って座敷へ入ってきた。全員口をつぐみ、女将と従業員がテキパキとテーブルにうな重や吸い物を並べていく様子を眺めていた。
タレの匂いが、部屋に広がり、板倉が鼻をヒクヒクさせた。

「うわぁ、美味そうスね。頂きまーす」

賢也は、険しい顔で、板倉をじっと見ていた。

「賢さん、俺の顔に何かついていますか?」

「いや。感心してたんだよ。お前が、いつも「頂きます」って手を合わせるから」

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