この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
危険な香りに誘われて
第15章 明けない夜はない
真理は、声を詰まらせた。説得して聞くような奴じゃない。だが、どうしても考え直してほしかった。

「お前になんかあったら、真紀ちゃんは、どうすんだよ。置いて行かれる身にもなれよ」

真紀の名前を口にされると、胸が痛む。賢也は、顔を曇らせた。それでも意志を曲げようとは思わなかった。

「頼む」

「・・・・止めても無駄か」

真理は、ため息をつき、説得を諦めた。

「出来るだけ早い方がいいんだ。会社の人間と親しくなったら気持ちが鈍る。話してみるとよ、そんな嫌な奴らじゃないんだよ。だから、これ以上一緒にいると・・・・」

「叔父に相談してみる」

「悪いな。・・・・ついでに、もう一つ、頼まれてくれないか」

「なんだよ」

「俺に万が一の事があったら、真紀の力になってやってくれ」

真理は、賢也を睨みつけた。

「心配なら、テメェで守れよ」

「守ってくれとは、言ってない。あいつは、強いから、俺がいなくてもちゃんと生きていける。暫くでいい、俺の替わりに見守ってくれ」

「何言ってんだよ。真紀ちゃん、皆の前でも泣いてただろう」

「悲しいのは、一時だけだ。人間は、立ち直れるように出来ているんだ」

「オカケン」

「頼む」

そんなこと頼まないでくれ。真理は、肘をつき、両手を重ねるとその上に額を乗せた。

「お前を失ったら、悲しむのは、真紀ちゃんだけじゃないって、分かっているか」

賢也は、真理と出会えたことを心から感謝した。
家族には、恵まれなかったかもしれない。だが、友人には、恵まれた。
だから、今まで暗い世界に足を踏み入れずに生きてこれたんだ。
真紀のために、そして自分のために、必ず、自由を取り戻してみせる。

「真理、ありがとな」

/505ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ