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危険な香りに誘われて
第15章 明けない夜はない
真理は、声を詰まらせた。説得して聞くような奴じゃない。だが、どうしても考え直してほしかった。
「お前になんかあったら、真紀ちゃんは、どうすんだよ。置いて行かれる身にもなれよ」
真紀の名前を口にされると、胸が痛む。賢也は、顔を曇らせた。それでも意志を曲げようとは思わなかった。
「頼む」
「・・・・止めても無駄か」
真理は、ため息をつき、説得を諦めた。
「出来るだけ早い方がいいんだ。会社の人間と親しくなったら気持ちが鈍る。話してみるとよ、そんな嫌な奴らじゃないんだよ。だから、これ以上一緒にいると・・・・」
「叔父に相談してみる」
「悪いな。・・・・ついでに、もう一つ、頼まれてくれないか」
「なんだよ」
「俺に万が一の事があったら、真紀の力になってやってくれ」
真理は、賢也を睨みつけた。
「心配なら、テメェで守れよ」
「守ってくれとは、言ってない。あいつは、強いから、俺がいなくてもちゃんと生きていける。暫くでいい、俺の替わりに見守ってくれ」
「何言ってんだよ。真紀ちゃん、皆の前でも泣いてただろう」
「悲しいのは、一時だけだ。人間は、立ち直れるように出来ているんだ」
「オカケン」
「頼む」
そんなこと頼まないでくれ。真理は、肘をつき、両手を重ねるとその上に額を乗せた。
「お前を失ったら、悲しむのは、真紀ちゃんだけじゃないって、分かっているか」
賢也は、真理と出会えたことを心から感謝した。
家族には、恵まれなかったかもしれない。だが、友人には、恵まれた。
だから、今まで暗い世界に足を踏み入れずに生きてこれたんだ。
真紀のために、そして自分のために、必ず、自由を取り戻してみせる。
「真理、ありがとな」
「お前になんかあったら、真紀ちゃんは、どうすんだよ。置いて行かれる身にもなれよ」
真紀の名前を口にされると、胸が痛む。賢也は、顔を曇らせた。それでも意志を曲げようとは思わなかった。
「頼む」
「・・・・止めても無駄か」
真理は、ため息をつき、説得を諦めた。
「出来るだけ早い方がいいんだ。会社の人間と親しくなったら気持ちが鈍る。話してみるとよ、そんな嫌な奴らじゃないんだよ。だから、これ以上一緒にいると・・・・」
「叔父に相談してみる」
「悪いな。・・・・ついでに、もう一つ、頼まれてくれないか」
「なんだよ」
「俺に万が一の事があったら、真紀の力になってやってくれ」
真理は、賢也を睨みつけた。
「心配なら、テメェで守れよ」
「守ってくれとは、言ってない。あいつは、強いから、俺がいなくてもちゃんと生きていける。暫くでいい、俺の替わりに見守ってくれ」
「何言ってんだよ。真紀ちゃん、皆の前でも泣いてただろう」
「悲しいのは、一時だけだ。人間は、立ち直れるように出来ているんだ」
「オカケン」
「頼む」
そんなこと頼まないでくれ。真理は、肘をつき、両手を重ねるとその上に額を乗せた。
「お前を失ったら、悲しむのは、真紀ちゃんだけじゃないって、分かっているか」
賢也は、真理と出会えたことを心から感謝した。
家族には、恵まれなかったかもしれない。だが、友人には、恵まれた。
だから、今まで暗い世界に足を踏み入れずに生きてこれたんだ。
真紀のために、そして自分のために、必ず、自由を取り戻してみせる。
「真理、ありがとな」