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危険な香りに誘われて
第15章 明けない夜はない
二人は、午後から病院へ行き、千佐子の病室へ向かう前に新生児室へ立ち寄った。
夫婦が一組、窓越しから新生児をのぞいている。
パジャマを着ている妻の隣で、一眼レフのカメラを使ってガラス越しに何枚も写真を撮る夫。
賢也と真紀は、空いているスペースから新生児室をのぞき込んだ。真紀は、目を輝かせ。

「この子じゃない?ほら、頭の所に結城様って書いているから」

一番手前で真っ赤になって泣いている赤ん坊を指差した。
足をもがくように動かし、上から掛けられたタオルが、ずれ落ちている。

「泣いてるぞ。腹減ったのか?」

「さぁ」

「小さいな」

賢也は、か細い声を震わせて泣く小さな赤ん坊をなんとも言えない気持ちで見下ろした。
真紀と結婚して、子供作って、二人で育てる。結局、儚い夢で終わった。

「あ、泣きやんだみたいだよ。自分の手チューチューしてる」

「やっぱ、腹減ってんだな」

真紀の背中に手を置くとそっと頭にキスを落とした。残り少ない時間が、あまりにも貴重で、とにかく真紀に触れたくて仕方なかった。人目も気にせず、所構わず、頭や頬にキスをする。

流石に、人目が気になり、真紀が躊躇する。

「賢也ってば、見られちゃう。恥ずかしいよ」

「気にすんなって」

賢也は、逃げ腰の真紀をつかまえて、尖らせた唇にもキスをした。

「おいおい、こんなところで子作りだけはするなよ」

真理の声に二人が振り返る。

「さすがに、ここではやらねぇよ。やるなら便所か、空いてるベッドでやるって」

真理の嫌味を笑って返す賢也。真紀は、足を踏みつけた。
賢也は、笑って真紀の腰を引き寄せ耳元で囁いた。

「大人しくしてねぇと、ホントに便所に連れ込むぞ」

「うっ。わ、私、千佐の所行ってくるね」

逃げるように賢也から離れ、病室へ向かう。
反対方向へ向かって行った真紀に、真理が後ろから声を掛けた。

「506だよ、真紀ちゃん」


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