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危険な香りに誘われて
第2章 7年後
真理が、仲裁しようと二人の間に手を入れてブンブンと振った。

「はいはい。オカケン、女の子相手にムキになんなよ。真紀ちゃんは、千佐の友だちだぞ。お前がナンパする女達と違うんだからな」

千佐子が、真里の後に続くように口を尖らせた。

「そうだよ。手なんて出したら、もう出入り禁止だからね」

「そうだよ、出禁だ、出禁」

真紀も一緒になって騒ぐ。全く、子供みたいな女たちだよな。賢也は、軽くため息をついた。憎まれ口きけないようにキスで塞いでやろうか。

触れたくてたまらない、賢也は、自分の気持ちに素直に従った。
ただしキスではなく、柔らかな頬をぷにっと指でつまんで。

「にくそい顔」

顔を近づけると、真紀の頬が赤くなり、賢也は、その顔に見惚れてしまった。
くそっ、可愛い過ぎるんだよ。

「やめてよ。別に、あんたに可愛く見せる必要なんてないもん」

真紀は、賢也の指を掴んで、無理な方向へ捻った。
ズキッと痛みが走る。

「あっ、あほ」

「えっ」

「・・・・折れたかも」

筋を痛めたか、ヒビが入ったかも。賢也は、その指を反対の手でギュッと握った。

「嘘っ」

真紀の顔が、一気に青ざめる。眉尻を下げ、心配そうな表情は、あの日と同じ。

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