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危険な香りに誘われて
第16章 止まない雨はない
賢也たちは、定期的にある家を訪問していた。
今日で、4度目となる。
目的は、その家に一人で暮らしている老人の持つ畑を安値で買い取る事。
オカザキは、あるドラッグストアーから、その土地が欲しいと相談を受けた。
広川は、3次の暴力団員に老人の所へ行き、土地を買ってこいと指示。
老人は、その畑を近所の住人や保育所に貸しているため、売る気はないと暴力団員を追い返した。
それから連日のように夜中に畑を荒らされたり、昼夜関係なく鳴る電話に、老人の精神はすっかり疲労困憊。それでもバカみたいな安い値段で、土地を売れと迫る暴力団に必死で抵抗していた。
「帰ってくれっ」
皺がれた声で怒鳴る老人の声が、外にも聞こえている。
広川は、賢也を見て、ニヤリと笑った。
「おい、お前ら。性懲りもなく、また来てたのか」
暴力団員は、広川の顔を見た途端、口々に面倒なおっさんが来たと言い、老人の自宅から退散していく。
「爺さん、大丈夫か」
広川が声を掛けると老人は、安堵の顔を見せた。
かっぷくのいい広川は、老人から見れば、頼れる男。
「広川さん。あんたが来てくれて良かった」
裏で、手を回していることなど知る由もない老人は、縋りつくように広川の側へ駆け寄った。まともに寝ていないのか、目の下には、クマが出来ている。
「本当に、困ってるんだ。もう疲れちまったよ」
今日で、4度目となる。
目的は、その家に一人で暮らしている老人の持つ畑を安値で買い取る事。
オカザキは、あるドラッグストアーから、その土地が欲しいと相談を受けた。
広川は、3次の暴力団員に老人の所へ行き、土地を買ってこいと指示。
老人は、その畑を近所の住人や保育所に貸しているため、売る気はないと暴力団員を追い返した。
それから連日のように夜中に畑を荒らされたり、昼夜関係なく鳴る電話に、老人の精神はすっかり疲労困憊。それでもバカみたいな安い値段で、土地を売れと迫る暴力団に必死で抵抗していた。
「帰ってくれっ」
皺がれた声で怒鳴る老人の声が、外にも聞こえている。
広川は、賢也を見て、ニヤリと笑った。
「おい、お前ら。性懲りもなく、また来てたのか」
暴力団員は、広川の顔を見た途端、口々に面倒なおっさんが来たと言い、老人の自宅から退散していく。
「爺さん、大丈夫か」
広川が声を掛けると老人は、安堵の顔を見せた。
かっぷくのいい広川は、老人から見れば、頼れる男。
「広川さん。あんたが来てくれて良かった」
裏で、手を回していることなど知る由もない老人は、縋りつくように広川の側へ駆け寄った。まともに寝ていないのか、目の下には、クマが出来ている。
「本当に、困ってるんだ。もう疲れちまったよ」