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危険な香りに誘われて
第16章 止まない雨はない
車から降りた板倉は、暗い顔で賢也たちの後ろを歩いている。
「どうした、随分暗いじゃねぇか?」
会社の廊下を歩きながら広川が訪ねた。
「いえ。なんか、田中の爺ちゃんが、可哀想で。それに、あの畑って、保育所とかも借りているって言ってたし、やっぱり、止めませんか」
広川が、いきなり板倉の顔に手の甲を使って張り倒した。
「ぐはっ」
板倉が殴られた頬を手で押さえていると、広川は、板倉の胸ぐらを掴んだ。
「んなこと言ってたら仕事になんねぇだろがっ。同情なんてくだらん感情は、捨てろ」
「す・・・すみません」
広川は、さらに板倉の髪を掴んで、壁に頭を打ちつけた。
「俺に意見したいなら、一人前の仕事してからにしろっ」
普段、見せない広川の一面を見た。やっぱり、こいつも暴力団。賢也は、小さくため息をつく。
「すみません」
突き放すように板倉の髪から手を離した広川は、一人スタスタと歩いて行った。
「なんか、爺ちゃんのこと思い出しちゃって・・・・すみません」
板倉は、泣きそうな顔を隠すようにクシャクシャになった髪を握りしめ、俯いている。
「板倉。お前は、向いてねぇよ」
「賢さん」
「俺と違って、他の生き方も出来んだから、よく考えろ」
賢也は、ポケットに手を突っ込み、板倉に背を向けた。
「どうした、随分暗いじゃねぇか?」
会社の廊下を歩きながら広川が訪ねた。
「いえ。なんか、田中の爺ちゃんが、可哀想で。それに、あの畑って、保育所とかも借りているって言ってたし、やっぱり、止めませんか」
広川が、いきなり板倉の顔に手の甲を使って張り倒した。
「ぐはっ」
板倉が殴られた頬を手で押さえていると、広川は、板倉の胸ぐらを掴んだ。
「んなこと言ってたら仕事になんねぇだろがっ。同情なんてくだらん感情は、捨てろ」
「す・・・すみません」
広川は、さらに板倉の髪を掴んで、壁に頭を打ちつけた。
「俺に意見したいなら、一人前の仕事してからにしろっ」
普段、見せない広川の一面を見た。やっぱり、こいつも暴力団。賢也は、小さくため息をつく。
「すみません」
突き放すように板倉の髪から手を離した広川は、一人スタスタと歩いて行った。
「なんか、爺ちゃんのこと思い出しちゃって・・・・すみません」
板倉は、泣きそうな顔を隠すようにクシャクシャになった髪を握りしめ、俯いている。
「板倉。お前は、向いてねぇよ」
「賢さん」
「俺と違って、他の生き方も出来んだから、よく考えろ」
賢也は、ポケットに手を突っ込み、板倉に背を向けた。