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危険な香りに誘われて
第16章 止まない雨はない
広川の携帯に着信音が鳴る。

「おー、島田。どうした」

広川は、チラッと賢也を見た。

「室田からパーティーの誘い?どこでだ。田淵がやってるカラオケボックスか。あそこなら防音で外に音がもれねぇからな。よし、たまには、俺らも参加するかな。ああ、俺らが行くまで、室田の女以外、手ぇ出すなよ」

広川は、立ちあがると吉田に目配りする。吉田もすっと立ちあがった。

「俺ら、ちょっとパーティー参加するわ。賢坊、お前も行くか」

「俺は、止めときます」

パーティーなんてのは、名ばかり。組員の女を大勢の組員でやりまくることだ。賢也は、嫌悪感を露わにした。

「楽しいぞ。いっぺん、経験してみたらどうだ」

「遠慮します。ガキの頃、爺がしょっちゅうやって、経験済ですから」

広川は、眉を吊り上げた。

「おい、マジかよ。オジキは、お前に性教育してたのか」

「小学5年でしたね。組員の前で、祖父の女とやりました。性器にシャブを塗られた女と人前で、初体験なんて、あんまりいないでしょうね」

賢也は、半笑いした。

「今夜のパーティーの餌食、誰だか知ってるか」

賢也は、顔を上げた。吉田が、タバコを咥えると板倉がスッと火を点ける。

「真紀ちゃんだよ」

「ああ?」

「中目組の幹部室田の女は、うちの会社で経理をやってる平野だ。あの女、すっかり室田に骨抜きにされているからな。室田に言われた通り、真紀ちゃんを上手く誘い出したみてぇだな」

「どうする、賢坊。パーティー行くか」

賢也は、眉間にシワを寄せ、怒鳴った。

「もっと早く言えっ」

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