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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
「ヤクザは、親子の擬制的血縁関係だって話、覚えているか?組長が親父。子分同士は、兄弟。子分から見れば、組長の兄弟分は、オジキ。なのに組長の嫁は、姐って呼ばれるだろ。普通ならお袋なのに」
「えっ、ああ、そうだね。何で?」
「ヤクザは、男社会なんだよ。女には、口を挟ませないように、同等の立場を与えない。だから、組長の嫁は、長女になるんだ」
男女差別だな。真紀は、口を小さく尖らせた。
「でも、極妻とかでは、姐さんが活躍するよ?」
本当に何も知らねぇんだな。真顔で言う真紀を見て、賢也は、軽く笑った。
「あれは、映画だろ。お前、広川たちの前で言ったら笑われんぞ?」
「津嶋の姐さんも、ほとんど表には、出てこない。地味で控え目なおばさんだよ。まぁ、トップになった男の女になるくらいだから、どんなに地味にしていても、どことなくオーラは、あるけどな」
「見たことあるの?」
「子供の頃、爺さんに連れられて相撲見に行った時に」
当時は、まだ若頭補佐の組長に小遣いを握らされた記憶がある。一歩下がって立っている大人しい女だった。
「えっ、ああ、そうだね。何で?」
「ヤクザは、男社会なんだよ。女には、口を挟ませないように、同等の立場を与えない。だから、組長の嫁は、長女になるんだ」
男女差別だな。真紀は、口を小さく尖らせた。
「でも、極妻とかでは、姐さんが活躍するよ?」
本当に何も知らねぇんだな。真顔で言う真紀を見て、賢也は、軽く笑った。
「あれは、映画だろ。お前、広川たちの前で言ったら笑われんぞ?」
「津嶋の姐さんも、ほとんど表には、出てこない。地味で控え目なおばさんだよ。まぁ、トップになった男の女になるくらいだから、どんなに地味にしていても、どことなくオーラは、あるけどな」
「見たことあるの?」
「子供の頃、爺さんに連れられて相撲見に行った時に」
当時は、まだ若頭補佐の組長に小遣いを握らされた記憶がある。一歩下がって立っている大人しい女だった。