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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
数日後、真紀が、会社のポストをのぞきに1階へ降りて行った時、皇帝を見かけた。
見たことの無い強面の中年男と一緒に、気難しい顔で歩いている。
顔色は、あまり優れない。
すれ違いざま、ペコリと頭を下げてみたが、皇帝は、真紀を見ようとすらしない。
感じ悪いな。心配して損したかも。真紀は、心の中で舌を出した。
エレベーターに乗り込む皇帝を見送ってから視線を通路に向けると、板倉の姿が。険しい顔に真紀は、声を掛けるのを一瞬躊躇った。
「板倉さん」
声を掛けると板倉は、驚き、体を大きくビクつかせた。
「真紀ちゃん、いたの?」
私がいること気づかなかったの?真紀は、首を傾げた。
「板倉さん、何してたんですか」
「えっ、別に何もしてないよ。それより、今日、天気予報外れたね。予報では雨だったのに」
上ずった声。酷く動揺しているように見える。
「そうだった?」
「あれ、違った?おかしいな。まぁいいか、どうせ車だし、天気なんて関係ないもんな」
「板倉さん、いつも送ってもらって、すみません」
「気にしないで。真紀ちゃんといると、なんか癒されるんだよ。だから真紀ちゃん送って行けるの、結構嬉しいんだよ」
板倉は、自分の胸に両手を重ねる。
「そうですか?」
板倉は、指を一本立て、唇にくっつけた。
「あ、俺が、こんなこと言ったのは、賢さんには、内緒にしてて。怒られちゃうから」
「ははは」
見たことの無い強面の中年男と一緒に、気難しい顔で歩いている。
顔色は、あまり優れない。
すれ違いざま、ペコリと頭を下げてみたが、皇帝は、真紀を見ようとすらしない。
感じ悪いな。心配して損したかも。真紀は、心の中で舌を出した。
エレベーターに乗り込む皇帝を見送ってから視線を通路に向けると、板倉の姿が。険しい顔に真紀は、声を掛けるのを一瞬躊躇った。
「板倉さん」
声を掛けると板倉は、驚き、体を大きくビクつかせた。
「真紀ちゃん、いたの?」
私がいること気づかなかったの?真紀は、首を傾げた。
「板倉さん、何してたんですか」
「えっ、別に何もしてないよ。それより、今日、天気予報外れたね。予報では雨だったのに」
上ずった声。酷く動揺しているように見える。
「そうだった?」
「あれ、違った?おかしいな。まぁいいか、どうせ車だし、天気なんて関係ないもんな」
「板倉さん、いつも送ってもらって、すみません」
「気にしないで。真紀ちゃんといると、なんか癒されるんだよ。だから真紀ちゃん送って行けるの、結構嬉しいんだよ」
板倉は、自分の胸に両手を重ねる。
「そうですか?」
板倉は、指を一本立て、唇にくっつけた。
「あ、俺が、こんなこと言ったのは、賢さんには、内緒にしてて。怒られちゃうから」
「ははは」