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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
数日後、重役会議で一番大きな会議室を使用するから準備をするように指示された真紀は、台車にペットボトルのケースを乗せ、お茶を運び込んだ。
電気をつけ、空調の調整をする。

ペットボトルの段ボールを開け、テーブルに並べて行く。
急に、会議室の外が、ガヤガヤ騒がしくなり、真紀は、手を止めドアの方へ顔を向けた。ドアが開き、大勢の男たちが入ってくる。迫力のある顔ぶれに真紀は、早く用意して、部屋を出ようと慌てた。
ジロジロと好奇心のような目で、真紀を見ている男もいる。

「おい、その子に妙な真似しないでくれよ」

集団の中から、吉田の声が聞こえた。真紀は、ホッとして吉田の所へ駆け寄った。

「なんで、真紀ちゃんがいるんだ」

「課長が」

他にも事務員はいるのに、なんで真紀をよこしたんだ。今日の集まりは、大半が、本部の人間。賢坊が知ったら、怒りだすぞ。吉田は、舌打ちをした。

「あとは、俺がやっとくから」

吉田に、背中を押され、出て行くよう促された。

何かが、いつもと違う。そんな気がした。会議室の様子を伺うと不思議なことに誰も席に着こうとしない。それどころか、全員部屋の後ろで固まっている。
いったい何が始まるんだろう。そんなことを考えながらエレベーターに乗り込んだ。
ぼーっとしていたのか、気づけば地下駐車場まで降りていた。ボタンを押した記憶は無い。スーッと扉が開き、真紀は、ギョッとした。

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