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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
会議室で見た男たちより、強面で大柄な男たちが数人立っている。
中央には、サングラスを掛けた60過ぎの男。
細身でひげを生やした男を見て、真紀は、ちょい悪親父みたいだと、思わず、口に手を置いてクスッと笑った。

「おい」

聞き覚えのある声に我に返った真紀は、ハッとして顔を上げた。
ちょい悪親父を挟むように賢也と皇帝が並んでいる。

「あっ」

しまった、お客様だった。真紀は、慌ててエレベーターから降りた。

「失礼しました。どうぞ」

賢也が、口パクで「あほ」と言い。
皇帝は、顔を引き吊らせ、真紀をギロッと睨みつけた。
ちょい悪親父は、真紀を見て口角を上げた。

ひーっ、私、もしかしてマズいところに出くわしちゃった?真紀は、冷や冷やしながら非常階段の入口へと向かう。よく分からないが、とにかく怖かった。強面の集団を見て、やっぱり普通の会社とは違うと思い直した。

賢也から聞いた、会社の相談役に女帝を置くかどうかでもめている話を思い出し、真紀は、階段を上がる足を止め振り返った。

「ひょっとして、今日の会議って。・・・・まさかね」




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