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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
その夜、ドサッという物音が寝室にいる真紀の耳にまで届き、目を覚ました。
誰?泥棒?ハンドモップを手にそっと寝室のドアを開け、玄関をのぞく。

「えっ、賢也?」

モップを放り投げ、玄関へ駆け寄る。ベッタリと尻をつき、嬉しそうに笑って手を広げているのは、間違いなく賢也だ。どう見ても酔っている。真紀は、びっくりした。どれだけ飲んでも酔わないと思っていた男が、べろべろになっている。

「真紀ーっ。やっと会えたなーっ。俺は、嬉しいぞ」

久しぶりのご対面か?真紀は、賢也の腕を掴んで、引っ張った。

「はい、はい。分かったから立って」

賢也は、ふらふらしながら立ちあがった。足が絡んで、よろけると真紀に抱きつく。

「重いって」

「うーん、やっぱり真紀が一番可愛いな」

誰と比べとる?しかし酔っぱらいに何を言っても無駄。真紀は、賢也の脇の下へ肩を入れふらつく賢也を支え寝室へ連れて行った。

「俺の女は、世界で一番良い女だ」

「そーか、そーか。酔ってない時に言ってくれると嬉しいな」

ぐぐっと賢也の体重が圧し掛かる。潰れちゃうよーっ。
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