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危険な香りに誘われて
第17章 一場春夢
賢也は、真紀の耳たぶに噛みついた。

「痛ーっ」

「無理に決まってんだろ」

半笑いの声。だが、目が笑っていない。真紀は、体の向きをかえ、賢也と向き合った。

「だったら、もういい。賢也とは、口もきかないし、エッチもしない」

強気な口調に賢也は、目を丸くさせた。

「おい、冗談言うなよ」

「本気だから。ほらもう、邪魔しないで。あっち行ってよ」

賢也の腹に手をついて、押した。

「なんだ、その態度?」

賢也は、真紀の腕を掴み自分に引き寄せると軽く屈み、尻の下に腕を回した。
そしてダイニングテーブルに真紀を座らせる。

「ちょっと、賢也。ここ座るとこじゃないよ」

「煩い、そんなことどうでもいい。それより、門限出来た理由を忘れたのかよ?」

賢也が、テーブルに手をつき、体を前に倒して迫ると、真紀は体を後ろに引き、顔を背けた。

「忘れたよ、そんなの。門限6時なんて小学生じゃあるまいし、いい加減にしてほしいよ」

「調子こくなよ、こら」

「別に、こいてない」

そっぽを向いたまま口を尖らせる。

「文句あんなら、こっち見て言えやっ」

賢也の雷が落ちた。真紀の心臓にビリビリと電気が走る。

「俺からすれば、お前は、小学生以下だ。世間知らずで、世の中の怖さを何も分かってねぇ。何回、危ない目に合った?言ってみろ」

「うっ、それは。・・・でも、気をつけるし」

「ああ?何眠たい事言ってんだ?」

もう、だめ。怖すぎる。真紀は、耐えきれず涙を目に浮かべた。


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