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危険な香りに誘われて
第18章 危ない男たち
「おい、そんなんで、本当に上手くやれるのか」

「そうだ、大丈夫なのかよ」

口々に、野次を飛ばす組員。バカにしたような笑いも聞こえる。
賢也は、パイプ椅子を蹴り上げた。椅子は、組員たちの方へ飛んでいき、一人の組員に命中した。

「あ、危ねぇだろがっ」

賢也は、野次を飛ばしていた中の一人の喉を掴んだ。

「うぐっ」

つま先立ちになった組員の顔が、どんどん蒼白になっていく。

「おい、よせっ。何やってるか、分かってんのか」

「うるせぇっ、黙ってろ!」

広川が賢也の背後に立つと怒鳴り声を上げた。組員たちは、途端に口を閉じ、半歩後ろへ引き下がる。
喉を圧迫され、目を開いたまま苦しそうにした組員の指が震えだす。

「たっ、たっ」

賢也は、そのまま組員の身体を壁に激しく打ちつけた。

「テメエのケツも拭けねぇ奴が、偉そうに口出してんじゃねぇぞ。いいか、よく聞け。上手くやれるかどうかなんて、誰も分かんねぇんだよ。それでも、とぼけてやり過ごすしかないんだ」

組員が苦しそうにしたまま、頷くと賢也は、手を離した。

「す・・・・すまねぇ。悪かった」

「しょうもねぇことで、手間掛けさせやがって。今度余計なことぬかしたら、この場で叩きのめすからな。分かったかっ!」

「ひっ、は、はい」

落雷にでもあったのかと思うほど、賢也の怒鳴り声に反応して、心臓がビリビリする。体中に電気が流れたみたいだ。組員の賢也を見る目が明らかに変わった。
賢也は、ただの若造なんかじゃない。次期代表であり、本部の最高幹部にもなれる男だ。賢也が会議室を後にすると、幹部たちは、口々に賢也に期待する声をあげた。

広川は、ニヤッと笑った。

「賢坊は、オカザキの代表だけで終わらねぇよ。俺らと器が違うんだ」
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