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危険な香りに誘われて
第18章 危ない男たち
車に乗り込もうとする賢也に広川が、後ろから声を掛けた。

「賢坊」

「はい」

「次の代表は、お前で文句ねぇって、皆言ってるぞ」

広川が、嬉しそうに言う。賢也は、ため息をついた。

「別に、褒めてくれんでいいですよ。俺は、ただ守らなきゃいけないもんがあるから、やってるだけです」

親父が生きている限り、この世界で生きて行くしか道が無いから、やっているだけだ。
だが、それも、もう少しの辛抱。
真紀の話を聞く限り、親父は、もう長くない。クソ親父、さっさと地獄へ落ちろ。

「賢坊。どうだ、一杯やらねぇか?」

広川が、賢也の肩に手を置く。

「俺、車ッスよ」

「後で、板倉に連絡すればいい」

ぽんぽんと、肩を叩いた後、賢也の背中を押した。

「いいじゃねぇか。たまには、二人っきりで飲もうや」


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