この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
危険な香りに誘われて
第19章 最期の夜

郵便局へ行こうと真紀は、エレベーターを呼ぶボタンを押した。開いた扉の中に皇帝がいる。一瞬、乗るのを躊躇ったが、小さく会釈し乗り込んだ。
皇帝は、真紀を見ようともしない。
ま、仕方ない。この人が、愛想振りまくなんて、考えられないもんな。
しかめっ面をする皇帝。相変わらず、顔色が優れないように見える。
「あの・・・・。お体の調子は、如何ですか」
余計なお世話だと言わんばかりに、ジロッと睨みつけられ、真紀は、しまったと思い体を小さくした。
「代表者変更の手続きが完了した。これで、あいつが、ここの代表取締役だ」
「・・・そうですか」
力の無い声で項垂れると皇帝の含み笑いが聞こえた。
「思ったほど驚かないとは、つまらんな。賢也から聞いていたか」
そうなる話は、聞いていた。
驚くというより、ああ、どんどん引き返せない状況になっているんだと、思った。
黙っていると、皇帝が、意味深な笑みを浮かべる。
「組長から賢也を本部の幹部に登録すると連絡が入った。この話は、まだ、知らんだろう?」
「本部の幹部登録」
「これで賢也も立派な組員だ」
賢也が、暴力団員になる。本当に、なってしまうんだ。膝が震え、血の気が引いていく。怒りと悲しみが胸の奥に湧き、ギュッと掌を硬く握り締めた。
「何で・・・・・。何で、自分の子供をそうまでして、追いつめるんですか?」
「お前には、分からんことだ」
「分からないし、分かりたいとも思いませんっ」
皇帝は、真紀を見ようともしない。
ま、仕方ない。この人が、愛想振りまくなんて、考えられないもんな。
しかめっ面をする皇帝。相変わらず、顔色が優れないように見える。
「あの・・・・。お体の調子は、如何ですか」
余計なお世話だと言わんばかりに、ジロッと睨みつけられ、真紀は、しまったと思い体を小さくした。
「代表者変更の手続きが完了した。これで、あいつが、ここの代表取締役だ」
「・・・そうですか」
力の無い声で項垂れると皇帝の含み笑いが聞こえた。
「思ったほど驚かないとは、つまらんな。賢也から聞いていたか」
そうなる話は、聞いていた。
驚くというより、ああ、どんどん引き返せない状況になっているんだと、思った。
黙っていると、皇帝が、意味深な笑みを浮かべる。
「組長から賢也を本部の幹部に登録すると連絡が入った。この話は、まだ、知らんだろう?」
「本部の幹部登録」
「これで賢也も立派な組員だ」
賢也が、暴力団員になる。本当に、なってしまうんだ。膝が震え、血の気が引いていく。怒りと悲しみが胸の奥に湧き、ギュッと掌を硬く握り締めた。
「何で・・・・・。何で、自分の子供をそうまでして、追いつめるんですか?」
「お前には、分からんことだ」
「分からないし、分かりたいとも思いませんっ」

