この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
危険な香りに誘われて
第19章 最期の夜
病室を出て行こうとする親父の背中が、小さく見えた。
もっと、大きくて、近寄りがたくて、いつも牙を向いていないと噛み殺されるような気がしていたのに。

「なぁ、教えてくれ。あんたにとって、俺は、ただの道具なのか?」

扉を開けようとする父親の手が止まった。

「道具の方が、なんぼかマシだ」

「どういう意味だよ」

「そういう意味だ」

「分かんねぇよ」

「ああ、賢也。一つだけ頼まれてくれないか。俺が死んだら、俺の書斎にある物は、全部お前が処分してくれ」

賢也は、一瞬言葉を失った。

「・・・・・気が向いたらな」

父親は、口角を上げた。

振り返ることなく、病室を出て行った。
賢也は、ベッドに腰を下ろし、窓の外を眺めた。暗い夜空が広がり、街の灯りが、遠くに見える。

「開けたら閉めろよな」




ただの道具かどうかなんて、あほなこと聞いちまった。

賢也は、両手で髪をかきあげると天井を仰ぎ、ため息をついた。

俺は、親父に何て答えて欲しかったんだろう。

/505ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ