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危険な香りに誘われて
第20章 雷雲に消える昇竜
空が稲光に照らされたかと思ったら、ゴロゴロと雷音が聞こえ。
あっと言う間に、激しい雨が、ビシビシとガラス窓を叩きつけた。

真紀が、窓越しに荒れた空を見上げていると。

「孝也が空で、暴れとるんかもしれんな」

ちょい悪親父が、真紀の隣に立ち、同じように空を見上げた。

「お父さんのことですか?」

「うむ。あいつの背中には、見事な昇り龍がおってな」

ちょい悪親父は、目を細め。

「・・・・孝也は、龍に戻って空へ帰って行ったんだな」

呟くように言った。

雲の合間に見える稲光が、龍の姿に見える。真紀は、頷いた。

「そうかもしれません」

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