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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
張りつめた欲望、賢也は、解放すべく、ジーパンのボタンを外し、ファスナーに指を掛けた。
その途端、ガラステーブルから二人の愛の営みを邪魔するコールが鳴り響く。
賢也は、がっくりと肩を落とし、スマホに手を伸ばした。

「はい」

不機嫌な声で電話に出たあと、真紀を残し、リビングから廊下へと移動する。
真紀は、半裸のまま膝を抱え、リビングのドアの向こうにいる男に意識を集中させた。
電話の相手も、何を話しているのかも、全く分からない。
きっと呼び出しの電話だ。不安だけが、広がっていく。

案の定、リビングに戻ってきた賢也は。

「悪い、出掛けてくる。遅くなるかもしれねぇ」

床に投げやったショーツを拾うと真紀の掌に置いた。
切なそうな瞳で見上げられ、賢也は、胸を痛めた。

「帰ったら、続きするからな」

優しく宥めるように声を掛け、真紀の秘部に軽く吸いついた。

「ああんっ」

「行ってらっしゃいのキスをくれ」

顔を近づけ、キスを求める。真紀は、賢也の首に腕を巻きつけ。

「なるべく早く帰ってきてね」

唇を重ねた。

「ああ。寂しいからって、一人ですんなよ?」

賢也の言葉に真紀は、意味深な笑いを返した。

「帰ったら、濡れてねぇか、調べるからな」

冗談で、不機嫌な顔をして見せて、真紀の首筋に噛みついた。

「行ってくる」



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