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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
賢也が出て行って、急に暇になってしまった。紫のショーツを手に、洗面所へ行き、洗濯機へ放り込む。スカートの中で尻がスースーする。

ショーツを取りに寝室へ行きかけた時、リビングから自分のスマホが鳴っていることに気づき、賢也が忘れ物でもしたのかと、真紀は、急いでリビングへ戻った。

「もしもし?忘れ物でもした?」

『忘れ物?誰と間違っているんだい?』

電話の向こうから含み笑いが、聞こえる。

「す、すみません。あの・・・どなたですか」

『俺の声忘れちゃった?真紀ちゃん』

「は、原田さん?」

賢也のことを悪く言われ、頭にきて、乱暴に電話を切ったのは、かなり前のことだ。もう二度と電話をしてくることは、無いだろうと思っていた。
原田は、賢也をよく思っていない。父親が、暴力団関係者だという理由だけで。

「あなたと話をすることは何もありません」

真紀は、厳しい口調でピシャリと言いきった。

『冷たいな、真紀ちゃん』

「原田さん、もう掛けてこないでください」

『嫌われたみたいだな。まぁいいや、それより、岡崎先輩の父親、死んだんだろ?』

「えっ。・・・・どうして、それを」

ドキッと胸が高鳴った。皇帝が死んだことを何故、原田が知っているのだろう。

『やっぱりな。血だらけだったって聞いたから、もう絶対助からないと思ったんだ』

原田の声は、嬉しそうに聞こえる。

「血だらけ?何を言っているんですか。いったい、誰の話をしているのか」

『誰って、岡崎先輩の父親だよ。数か所腹部を刺されて、路上に捨てられてたって。・・・・もしかして、知らなかったのか』

皇帝は、入院先で容体が急変したって。
サーッと血の気が引いていく。
どういうこと?
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