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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
原田の肘の横に置かれた灰皿に視線を向けた。火を点け、一度吸ったきりのタバコが、灰皿の上で白い煙をユラユラさせて、灰と化す。
「幸い、相手の男が、服役中に死んでくれたから、縁も切れたけど。薬を絶つのに、入院させたり、カウンセリング受けさせたり。両親も俺も大変だった。あれは、人間の脳を犯すんだよ。止めて何年も経つのに、時々あの快感が忘れられないって、今も苦しんでいる」
原田の話に、真紀は胸を痛めた。可哀想だと同情もした。
だが、自分だけは違う。自分だけは、大丈夫。恋人を信じている。
そう思わなければ、一緒にいられない。握りしめる掌に爪が食い込む。
「原田さん。心配してくれて・・・ありがとうございます。でも、賢也は、自分といたら、私を不幸にするって。だから別れようって言ってくれました。そんな風に私を思って言ってくれた賢也を私は、信じています」
内から湧きあがる怒りが、原田の瞳の色を変えた。これほど言っても、まだ分からないのかと、原田の激しい感情が伝わり、真紀は、恐怖すら覚えた。
「後で、後悔しても遅いんだぞ。今なら、まだ、いくらでもやり直せるのに」
怒りの感情を抑え、落胆した表情を見せ、被りを振る原田に、真紀は、小さく頭を下げた。
「色々、ありがとうございました」
真紀がバッグから財布を取り出すと、原田は、伝票を手に取った。
「誘ったのは、俺だし、ここの払いは俺がするよ」
「・・・じゃあ、ごちそうになります。ありがとうございました」
席を立とうとすると。
「ねぇ、真紀ちゃん。その財布に入っているお金は、まともなお金なのかな?」
「えっ、まとも?」
「分かってもらえなくて、残念だったよ」
立ち上がると原田は、ポンッと真紀の肩を軽く叩いてレジへ向かった。
「幸い、相手の男が、服役中に死んでくれたから、縁も切れたけど。薬を絶つのに、入院させたり、カウンセリング受けさせたり。両親も俺も大変だった。あれは、人間の脳を犯すんだよ。止めて何年も経つのに、時々あの快感が忘れられないって、今も苦しんでいる」
原田の話に、真紀は胸を痛めた。可哀想だと同情もした。
だが、自分だけは違う。自分だけは、大丈夫。恋人を信じている。
そう思わなければ、一緒にいられない。握りしめる掌に爪が食い込む。
「原田さん。心配してくれて・・・ありがとうございます。でも、賢也は、自分といたら、私を不幸にするって。だから別れようって言ってくれました。そんな風に私を思って言ってくれた賢也を私は、信じています」
内から湧きあがる怒りが、原田の瞳の色を変えた。これほど言っても、まだ分からないのかと、原田の激しい感情が伝わり、真紀は、恐怖すら覚えた。
「後で、後悔しても遅いんだぞ。今なら、まだ、いくらでもやり直せるのに」
怒りの感情を抑え、落胆した表情を見せ、被りを振る原田に、真紀は、小さく頭を下げた。
「色々、ありがとうございました」
真紀がバッグから財布を取り出すと、原田は、伝票を手に取った。
「誘ったのは、俺だし、ここの払いは俺がするよ」
「・・・じゃあ、ごちそうになります。ありがとうございました」
席を立とうとすると。
「ねぇ、真紀ちゃん。その財布に入っているお金は、まともなお金なのかな?」
「えっ、まとも?」
「分かってもらえなくて、残念だったよ」
立ち上がると原田は、ポンッと真紀の肩を軽く叩いてレジへ向かった。