この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
とほとぼと、暗い気持ちでマンションまで戻り、エレベーターのボタンを押して待っていると。
「真紀」
賢也に後ろから声を掛けられ、真紀は、小さく飛びあがった。
「け、賢也。遅くなるんじゃ?」
心臓をバクバクさせ、真紀は、狼狽えた。
今、何時だっけ?チラッと時計を見る。6時前に、ほっと胸を撫で下ろす。
とりあえず、門限で怒られることはない。
早く帰るなら連絡くらいくれたらいいのに。
寒い季節に冷や汗が出る。
「予定が変わったんだ。何だよ、帰ってきて悪かったか?」
「ううん、全然。嬉しいけど」
乗り込んだエレベーターの中で、賢也は怪訝な顔で真紀を見下ろした。明らかに動揺している。
「どこに行ってたんだ」
「どこって、ちょっと買い物」
「何も持ってないぞ」
「それが、財布忘れちゃって。ははは、鈍くさいよね」
笑っているが、目は泳いでいる。
部屋に入ってコートを脱いだ真紀を見て、賢也は、ギョッとした。
「おい」
「何?」
クルリと振り向いた真紀の手首を掴むと引き寄せた。
「随分短いスカートだな」
外出する時は、足を隠せと口うるさく言っている。ミニスカートやショートパンツは、家の中でしか履かせていない。
「着替えるの忘れていただけだよ。コート羽織ってたし、別にいいじゃない」
手を振り払おうとする真紀から、香水とタバコの臭いがした。それも、嫌な男と同じ香り。
「真紀」
賢也に後ろから声を掛けられ、真紀は、小さく飛びあがった。
「け、賢也。遅くなるんじゃ?」
心臓をバクバクさせ、真紀は、狼狽えた。
今、何時だっけ?チラッと時計を見る。6時前に、ほっと胸を撫で下ろす。
とりあえず、門限で怒られることはない。
早く帰るなら連絡くらいくれたらいいのに。
寒い季節に冷や汗が出る。
「予定が変わったんだ。何だよ、帰ってきて悪かったか?」
「ううん、全然。嬉しいけど」
乗り込んだエレベーターの中で、賢也は怪訝な顔で真紀を見下ろした。明らかに動揺している。
「どこに行ってたんだ」
「どこって、ちょっと買い物」
「何も持ってないぞ」
「それが、財布忘れちゃって。ははは、鈍くさいよね」
笑っているが、目は泳いでいる。
部屋に入ってコートを脱いだ真紀を見て、賢也は、ギョッとした。
「おい」
「何?」
クルリと振り向いた真紀の手首を掴むと引き寄せた。
「随分短いスカートだな」
外出する時は、足を隠せと口うるさく言っている。ミニスカートやショートパンツは、家の中でしか履かせていない。
「着替えるの忘れていただけだよ。コート羽織ってたし、別にいいじゃない」
手を振り払おうとする真紀から、香水とタバコの臭いがした。それも、嫌な男と同じ香り。