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危険な香りに誘われて
第21章 番犬注意
賢也は、耳を疑った。父親が殺されたのを知っているのは、極僅かな人間だ。
全身の毛が逆立つ。どこで、情報が漏れたのか。
『すぐ、こっちへ来てくれ。社長が・・・・・社長が、殺られちまった』
吉田の悲痛な声が、今も生々しく耳に残る。
父親は、腹部を数か所刺され、車の後部座席で死んでいた。
昔、祖父が組をやっていた頃に構えていた元事務所の側で。
閉店間際、最後の客を見送りに外へ出たスナックのママが、店の前で停まっているベンツに気づき、文句を言おうと窓を叩いた。
人影が見えるのに、無反応。怪しんだママが、ドアに手を掛け開くと、そこには、昔馴染みの男が、血だらけで、動かなくなっていた。
「ひぃっ、孝ちゃん、孝ちゃん。嘘でしょう」
驚いたママは、すぐさま広川へ連絡。近くで飲んでいた広川たちが、血相変え駆けつけた。
遺体になった父親を見て、広川は、冷静でいられなくなり、暴れ、そこらの看板やシャッターに当たり散らした。
「広、やめろ。通報されちまう。賢坊呼ぶから、大人しくしてろ」
吉田は、取り乱す広川を気にしつつ、賢也に電話を掛けた。
「くそっ、出ねぇ。何やってんだよ、こんな時に」
何度もリダイヤルし、賢也に連絡を取ろうとした。
『うるせぇなっ、今、忙しいんだ。何の用だっ』
ようやく出たと思ったら賢也が、電話の向こうで怒鳴り声をあげる。
吉田は、喉を詰まらせ、やっとの思いで声を出した。
「見坊、どこにいんだよ。何度も電話したんだぞ」
全身の毛が逆立つ。どこで、情報が漏れたのか。
『すぐ、こっちへ来てくれ。社長が・・・・・社長が、殺られちまった』
吉田の悲痛な声が、今も生々しく耳に残る。
父親は、腹部を数か所刺され、車の後部座席で死んでいた。
昔、祖父が組をやっていた頃に構えていた元事務所の側で。
閉店間際、最後の客を見送りに外へ出たスナックのママが、店の前で停まっているベンツに気づき、文句を言おうと窓を叩いた。
人影が見えるのに、無反応。怪しんだママが、ドアに手を掛け開くと、そこには、昔馴染みの男が、血だらけで、動かなくなっていた。
「ひぃっ、孝ちゃん、孝ちゃん。嘘でしょう」
驚いたママは、すぐさま広川へ連絡。近くで飲んでいた広川たちが、血相変え駆けつけた。
遺体になった父親を見て、広川は、冷静でいられなくなり、暴れ、そこらの看板やシャッターに当たり散らした。
「広、やめろ。通報されちまう。賢坊呼ぶから、大人しくしてろ」
吉田は、取り乱す広川を気にしつつ、賢也に電話を掛けた。
「くそっ、出ねぇ。何やってんだよ、こんな時に」
何度もリダイヤルし、賢也に連絡を取ろうとした。
『うるせぇなっ、今、忙しいんだ。何の用だっ』
ようやく出たと思ったら賢也が、電話の向こうで怒鳴り声をあげる。
吉田は、喉を詰まらせ、やっとの思いで声を出した。
「見坊、どこにいんだよ。何度も電話したんだぞ」