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危険な香りに誘われて
第3章 罠
「友達か」

「うん。一人暮らしがしたいんだって。でもね、ワンルームは狭いし、アパートは、ちょっと物騒じゃない」

「なら、いい物件がある」

賢也は、自分の思惑を見破られないように、何食わぬ顔で、貼られた紙を1つ指さした。
真紀の警戒心は、まだ解かれていない。微妙な距離感が物語っている。
本当に、手こずるな。だが、それもいい。手に入れた時の喜びは、きっと想像を超えるはずだ。

「駅もスーパーも近いから便利だぞ」

どれ、とのぞいてみると管理費共益費別で家賃だけで10万8千円。真紀は、首を横に振った。

「無理だよ。そんなお金ない。2LDKてだけでも高いのに、駅が近い物件なんて手が出ない」

賢也は、真紀に見えないようにニヤリと笑った。

「真紀ちゃんの友達なら格安で貸してもいいぞ」

「へっ」

意味が分からず、目を丸くさせ、見上げる表情を見て、思わず、賢也の頬が緩みそうになった。ああ、やっぱ可愛いよな。真紀を見ると、つい、にやけてしまう。賢也は、ゴホンっと咳払いした。

「月5万で、どうだ?」

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