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危険な香りに誘われて
第3章 罠
この人、何言ってんの?
意味わかんない、真紀が黙っていると。

「わかった、全部込で5万にしてやる。それでどうだ」

賢也は、片手を広げた。

「は?」

何で、あんたが決める?不動産屋で働いているのか?でも、この前塾の講師だとか言っていたよね。賢也の言動を怪しんだ。眉尻を下げ、賢也の口元をじーっと見つめて。
嘘を見抜こうとした。

「まだ高いか?」

いや高くはないが、あんたの話についていけないんだよ。ひょっとして、話に飛びついた途端、あほ、冗談だなんて、言われるんじゃないか。こんな美味い話、あるはずが無い。何度も瞬きしていると。

「うちの持ちもんだから」

真紀の目が、パッと大きく開いた。

「本当?」

「で、どうすんだ?」

「借りるっ」

掛かった!
賢也は、喜びのあまり両手を挙げそうになった。

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