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危険な香りに誘われて
第23章 奪還
原田は、タバコを口に咥え。

「大真面目さ。俺が、せっかく忠告してやったのに、無視するから、こんなことになるんだよ。真紀ちゃん」

火を点けた。

「妹の話をしてやったろ?あの話には、まだ続きがあるんだ」

「あんたの話なんて、聞きたくないよ」

原田はムッとし、真紀を睨みつけ、唇を震わせた。

「3ヶ月前、妹は、自ら命を絶った。俺の出張中にね。・・・体から覚せい剤が、検出されたって、警察に言われた。体には、無数の痣も確認された。この意味が、わかるか?」

真紀は、首を小さく横に振った。

「レイプされたんだ。苦労してやっと止めた覚せい剤まで打たれてな」

妹のことを口にする原田の顔には、怒りと悲しみが入り交じっている。

「3ヶ月前?賢也のお父さんが、殺されたのを妹さんが見たって話は、嘘?どうやって、賢也のお父さんが殺されたって知ったの?」

「岡崎を刺したのが俺で、死体を捨てに行ったのが、南条だから。簡単だろ」

「賢也のお父さんは、重い病気だったんだよ。そんな酷いこと、どうして出来るのよ」

二人の会話を黙って聞いていた板倉が、口を開いた。

「酷いのは、俺らじゃない。社長だ。俺の家族は、あいつのせいで殺された。父ちゃんも母ちゃんも兄ちゃんも、爺ちゃんも、みんな、殺されたんだ。家族を失った俺の気持ちなんて、真紀ちゃんには、分からないよ」
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