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危険な香りに誘われて
第23章 奪還
ポタリ、真紀の頬に滴が落ちる。原田の涙が、真紀の頬を濡らしていた。
だが、意識を失った真紀は、ピクリともしない。

「真紀ちゃん、ごめん。一緒に死んでくれ。すぐに楽にしてやるから」

復讐の相手は、ヤクザなら、誰でも良かった。妹を死に追い詰めたヤクザが、どこの組員だったのか定かではない。津嶋会のナンバー2とも呼ばれる孝也を殺したのは、騒ぎを大きくしたかったからだ。

真紀を殺そうとしているのは、賢也への当てつけにすぎない。
手に入れたいと思った女が、一番嫌いな世界に生きている男のものだと知って、許せなかった。ヤクザは、女を不幸にする。真紀に訴えたのに、聞く耳もたない態度に腹が立った。
ヤクザと付き合ったばかりに不幸になることを身をもって思い知ればいい。
原田は、頸動脈を抑える指先に力を込めた。

「恨むなら、岡崎親子を恨めよ」

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