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危険な香りに誘われて
第24章 新芽
真紀を抱きあげ、膝の上に跨らせた。
愛らしい瞳に見つめられ、賢也は、一瞬、躊躇い、開きかけた口を閉じた。

父親に無理やり引き込まれ、仕方なく入った世界。父親が死んだ今、もうその世界にいる必要は無くなった。
真紀もきっと、やめると思っている。いつ、それを言いだすか待っているはずだ。

「俺の気が変わって、もう暫く、続けることにしたって言ったら、お前どうする?」

責められても仕方ない。ひょっとたら、見限って別れると言い出すかもしれない。
覚悟して、真紀の返事を待っていたが、何も言おうとしない。ショックが大き過ぎて、言葉も出ないのか。

「真紀?」

「どうって言われても。・・・・もう決めたんだよね?」

「ああ」

「理由は、分からないけど。色々考えた結果なんでしょう?」

「ああ」

「だったら、私の意見なんて聞く必要ないよ。賢也が、何をしてようと、どんな仕事してようと関係ないもん。賢也と生きていけたら、それで満足」

このブレない愛情の深さが身にしみる。賢也の決意が固まった。

「なら、そろそろ、ちゃんとしねぇか?」


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