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危険な香りに誘われて
第24章 新芽
ピルが、そろそろ切れる。キッチンの収納棚の引き出しに入れたピルを手にし、真紀は、リビングにいる賢也へ顔を向けた。

「ねぇ、賢也」

「ん?」

「ピル、止めてもいい?」

だめって言うかな。真紀は、ドキドキしながら賢也の返事を待った。
賢也は、キッチンで不安そうにしている真紀を見つめた。

「子供欲しいのか」

「・・・今すぐ、どうしてもって訳じゃないけど」

いじけたような声に、賢也は、笑いそうになった。分かりやすい奴。

「いいぞ」

賢也の言葉に驚き、詰め寄った真紀の腰に手を添え持ち上げると、太腿の上に跨らせた。可愛い顔は、どこか興奮しているようにも映る。

「本当に、いいの?」

「ああ、でも。子供作るなら、もっと広い家に越したほうがいいな」

急いで引っ越さなくても、生まれて落ちついてからでもいいのではないか。真紀は、部屋を見渡した。

「ここも十分広いよ」
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