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危険な香りに誘われて
第25章 愛妻家
ホストクラブ!
真紀は、おののき後退りした。

あれは、忘れもしない去年のことだ。
変な女に引っかかって、ぼったくりのホストクラブへ連れて行かれた。
あほみたいな値段を請求され、払わないと言うと奥の事務所へ連れ込まれ、恐い目に遭った。
賢也に助けてもらったが、それが原因で門限6時になったのだ。
思い出すだけで腹が立つ。
なのに、その店にいた翼が、目の前にいて、ヘラヘラ笑っている。

「何でぇっ?」

裏返った声を張り上げ、耕太を指差し、賢也に驚きの顔を向けた。

「惚れたんです」

耕太が答えると、真紀は、裸足で土間へ降り、賢也の腕を掴んだ。

「それは、困ります」

「真紀さんじゃありません。賢也さんです」

何?賢也に惚れた?真紀の手に力が入る。

「ダメだよ、賢也は、私と結婚しているんだからっ。帰って」

「違いますよ、真紀さん。男として惚れたんです」

「だから私の旦那は、ダメだってば!他の人探してよっ」

「いや、だから」

「あっちいって。人の旦那に手を出さないでっ」

昔の恋人は、ゲイだった。男同士も恋愛する。真紀は、耕太の言葉をそのまま鵜呑みにした。
二人の噛み合わない会話を聞いて、賢也は、天井を仰いだ。

「耕太、車で待っていろ」

「はい」

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