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危険な香りに誘われて
第25章 愛妻家
「まぁ、可愛いっちゃ可愛いですけど。でも、あのくらいの子なら、いくらでも。あ、着きましたよ」

昼飯に立ち寄ったトンカツ屋藤岡の駐車場に車を乗り入れた後、ゴツッと鈍い音がした。
吉田が、耕太の頭を拳骨で殴ったのだ。

「このボケがっ」

「うっ」

頭を押さえながら車を降りる耕太の尻を広川が、思いっきり蹴る。

「わぁっ」

軽く飛んだ耕太は、体をぶつけた電柱に抱きつき、情けない声を出した。

「酷いっスよ」

「うっせぇ。てめぇは、そこで待ってろ」

「勘弁してくださいよ。別に、可愛くないとは、言ってないですよ、ね、賢也さん」

こいつ・・・殺したろか。賢也は、こめかみをピクピクさせ。
耕太の首に腕を回し、軽く絞め上げた。

「寝てろ、耕太」

気絶した耕太を残したまま、三人は店の暖簾を潜った。案内された二階席の窓からは、駐車場が見える。

「あいつ、怖い物知らずだな」

「あほだ、あほ」

温かいおしぼりで手を拭きながら、三人は、駐車場で倒れている耕太を見てゲラゲラ笑った。

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