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第25章 愛妻家

注文したカツ定食が運ばれた頃、耕太は目を覚まし、慌てて階段をドタドタ音をさせて駆け上がってきた。
ガラッと襖を開けると、半泣きで。

「あんまりですよ」

情けない声を出した。

「しょうもねぇこと言うからだ」

耕太は、ブツブツ言いながら、カツ定食に箸をつける。

空気を読めない奴。賢也は、じっと耕太を見据えた。
本人は、どこまで気づいているのか知らねぇが、思ったことを何でも口にする。
本物のあほだな。

ホストクラブで暴れた後、帰ろうとする賢也たちを追いかけ、舎弟にしてくれと頼み込んできた。
ずっと無視してきたが、板倉が逮捕され、運転手を探そうかと思っていたこともあり、ストーカーのようにしつこい耕太に根負けし白羽の矢を立てた。

「俺、そんな怒られるようなこと言いました？」

ゴインッ。賢也は、耕太の頭に拳骨を落とす。

「一回死ね」

人選ミスったか。賢也は、ため息をつき、箸を手に取った。

「頂きます」