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危険な香りに誘われて
第25章 愛妻家
その夜、吉田のリクエストで、スナック亜理紗へ行くことになった。
津嶋会の若頭補佐の一人でもあり、飯塚組長の嫁が店のママだ。
「いらっしゃい。あら、賢ちゃん」
「どうも」
「こんな下品でスケベな中年男たちと飲み歩いてたら、脳みそ腐っちゃうわよ」
吉田は、この店のママと同じ中学出身で、付き合いも長く、気心の知れた関係だ。
決して美人ではないし、体もごつい。
吉田が、よくからかってママを「親方」と呼ぶ。
「親方、また太ったんじゃないですか」
「失礼ね、あんたに言われたかないわよ」
ママは、腰に手を置き、賢也に向き直ると。
「賢ちゃん。女に花送るって言ったら薔薇でしょう。チューリップとか、ガーベラなんて、ダメよ。女には、薔薇よ。覚えておいてね」
スーツの襟に指を滑らせ、ポンと軽く胸を叩いた。
「えっ、ああ。すみません」
先日、ママから誕生日を迎えるから花を送れと催促され、しかたなく花屋へ適当に見繕って届けさせたら抗議の電話をかけてきた。
「賢坊、カーネーションにしとけば良かったんじゃないか?」
「吉田ーっ、あんたねーっ」
ママが、拳を振り上げると、吉田は、ハハハと大口開けて笑い、店の奥、空いたテーブル席へ座った。
「ママ、ボトルおろしてくれ」
津嶋会の若頭補佐の一人でもあり、飯塚組長の嫁が店のママだ。
「いらっしゃい。あら、賢ちゃん」
「どうも」
「こんな下品でスケベな中年男たちと飲み歩いてたら、脳みそ腐っちゃうわよ」
吉田は、この店のママと同じ中学出身で、付き合いも長く、気心の知れた関係だ。
決して美人ではないし、体もごつい。
吉田が、よくからかってママを「親方」と呼ぶ。
「親方、また太ったんじゃないですか」
「失礼ね、あんたに言われたかないわよ」
ママは、腰に手を置き、賢也に向き直ると。
「賢ちゃん。女に花送るって言ったら薔薇でしょう。チューリップとか、ガーベラなんて、ダメよ。女には、薔薇よ。覚えておいてね」
スーツの襟に指を滑らせ、ポンと軽く胸を叩いた。
「えっ、ああ。すみません」
先日、ママから誕生日を迎えるから花を送れと催促され、しかたなく花屋へ適当に見繕って届けさせたら抗議の電話をかけてきた。
「賢坊、カーネーションにしとけば良かったんじゃないか?」
「吉田ーっ、あんたねーっ」
ママが、拳を振り上げると、吉田は、ハハハと大口開けて笑い、店の奥、空いたテーブル席へ座った。
「ママ、ボトルおろしてくれ」