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危険な香りに誘われて
第26章 嵐
本部の敷地周辺には、最高幹部たちが乗りつけた高級車が何台も止まっている。耕太は、それを見て、緊張し声を震わせた。

「すげぇっ、映画の世界みたいだ」

耕太を無視し、賢也は、車を降り。

「お前は、車にいろ」

一人、本部の中へ入って行く。耕太は、賢也の堂々とした背中を見て、ほぅっと息を漏らした。そして自分の目に狂いはなかったと、自画自賛する。

「本当に、あの人、カッコイイな」

賢也を待ち構えていた部屋住みに案内され、奥の間へ向かう。襖を引くと、最高幹部の面々が、顔を揃えている。さすがに賢也も一瞬、戸惑った。
組長を筆頭に、そこにいるのは、相談役、顧問、本部長、若頭補佐たち。そして、当然若頭の堀田もいる。
ここまで全員揃っていると威圧感は、半端ねぇな。耕太を放り込んだら、どうするだろう。しょんべん漏らしかねないな。耕太のオロオロする様子が容易に浮かび、賢也は、口角を上げた。

「遅くなりました」

「座れ」

「しかし」

「構わん、座れ」

座れと言うが、空いている席は、堀田の正面。末席ではない。
賢也は、訝し気な顔で、言われるがまま座った。

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