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危険な香りに誘われて
第4章 捕獲
「2LDKの部屋は?」

「あれ、俺2LDKの部屋を貸すなんて言った?」

すっとぼけた態度が、真紀の怒りに油を注ぐ。

「だって、2LDKの部屋を指していたじゃない。部屋は、どこ。今日は、エイプリルフールじゃないんだよ」

ギャンギャンと喚き散らす。まぁ想定内だと、賢也は、苦笑した。

「俺は、このマンションなんてどうだって言っただけだ」

こ、こいつ最初から、そのつもりで。真紀は、絶句した。

「考えてもみろよ。敷金も礼金も不要。おまけに番犬付き。お前にとってもお得な話だと思わないか」

笑って広げてみせる賢也の掌にパシッとグーパンチが飛ぶ。

「思うかっ。飼い主を襲うような番犬なんて危な過ぎるわ」

頭の中で、賢也に【猛獣、危険】のシールをペタリと貼ってやった。

「うまいこと言うな」

怒りに任せて、賢也の二の腕にパンチを炸裂させた。

「ふ・・・ふざけんなっ。付き合ってもおらん男と一緒に住めるか」

賢也は、ポンと手を叩いた。

「そのポンは、何?そのポンは、まさか、付き合おうとか言わないよね?」

「おーっ」

ぶちっ、ぶちっ、ぶちっ。真紀の頭の血管が、切れまくる。

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