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危険な香りに誘われて
第4章 捕獲
「それ、いい考えだな」

「どこがっ」

「真紀、俺の事嫌いか?」

「好きも嫌いもあるかっ。数えるほどしか会っていないのに」

真紀が、指を四本折って見せると、賢也は一本たりないんじゃないかと指摘する。

「どーでもいいわっ」

何考えてんだ、こいつ。マジで。頭おかしいんじゃないか。真紀は、暴れ過ぎて、ぜぇぜぇ息を切らせながらも賢也を睨み続けた。

「お買い得だぞ」

賢也は、ニコニコ笑って自分の顔を指差している。

「遊んでる男は、嫌」

話しにならんとプイッと顔を背けた。

「遊ばなきゃいいんか?だったら自信あるぞ」

チラッと賢也に視線を向けた。どう考えても遊ぶでしょうと、言わんばかりの目つき。鼻で笑い。

「無理でしょう。あんたが、遊び人だってのは、世界中の誰もが知ってるよ」

「世界中は、言いすぎだろ。なぁ、よく考えろよ。こんないい話ないぞ。駅やスーパーも近い。見晴らし最高。女の一人暮らしは危険がつきものだろ。暴漢、チカン、下着泥棒、ストーカー、防犯対策として、俺ほど役に立つ男はいないぞ」

賢也は、自分の体をぽんと叩いて見せた。

頭が痛い。一番危険なのは、あんたでしょう。真紀は、大きなため息をついた。
これ以上、訳の分からない話をしても埒があかない。

「冗談はいいから、別の部屋を貸して」

「他の部屋なら、まともな家賃とるぞ。もちろん、敷金、礼金もいるな。契約は、青空不動産でしてくれ」
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