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危険な香りに誘われて
第27章 終止符
「二十年後あんたは、自分たちを通報した男と偶然会った」
賢也は、足元に落ちている新聞の切れ端を拾い、胸ポケットから取り出した写真と一緒にテーブルに並べた。色あせた写真の中で岡崎孝也と南条青洲が笑っている。
「この男に見覚えがあるでしょう」
「見覚えも何も、お前の父親で、岡崎孝也だろ」
「隣の男です。南条青洲、この男とは、何度も会っているはず。青洲は、関西で行事があると必ず大阪にいる親父と酒を酌み交わしていた。その席に、あんたは、今の組長武田功の舎弟としていつも同席していた」
「俺は、親父の付き添いをしたまで。同席していた奴が、誰かなんて気にしたこともねぇよ」
吐き捨てるように言うが、堀田の目が泳いでいたことを賢也は、見逃さなかった。
明らかに動揺している様子が伺える。
「ある日、酒の席で青洲が若い頃に、暴行されていた女子高校生を助けるため、警察に通報した話が持ち上がった。あんたは、その時、南条が自分たちを通報した男だと知った。逮捕されたのも少年院送りになったのも母親が自殺したのも全て南条の仕業だと、あんたは見勝手な怒りを湧き上がらせ、復讐を企み、寺を襲った」
「言いがかりだっ」
堀田は、写真と記事を払いのけた。
賢也は、足元に落ちている新聞の切れ端を拾い、胸ポケットから取り出した写真と一緒にテーブルに並べた。色あせた写真の中で岡崎孝也と南条青洲が笑っている。
「この男に見覚えがあるでしょう」
「見覚えも何も、お前の父親で、岡崎孝也だろ」
「隣の男です。南条青洲、この男とは、何度も会っているはず。青洲は、関西で行事があると必ず大阪にいる親父と酒を酌み交わしていた。その席に、あんたは、今の組長武田功の舎弟としていつも同席していた」
「俺は、親父の付き添いをしたまで。同席していた奴が、誰かなんて気にしたこともねぇよ」
吐き捨てるように言うが、堀田の目が泳いでいたことを賢也は、見逃さなかった。
明らかに動揺している様子が伺える。
「ある日、酒の席で青洲が若い頃に、暴行されていた女子高校生を助けるため、警察に通報した話が持ち上がった。あんたは、その時、南条が自分たちを通報した男だと知った。逮捕されたのも少年院送りになったのも母親が自殺したのも全て南条の仕業だと、あんたは見勝手な怒りを湧き上がらせ、復讐を企み、寺を襲った」
「言いがかりだっ」
堀田は、写真と記事を払いのけた。