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危険な香りに誘われて
第27章 終止符
「実行犯は、そこにいる芦谷と、ムショにいる正木、そしてあんただ。南条青洲の妻と息子は、レイプしながら絞殺。爺さんは、心臓一突き。ところが、南条青洲だけ、複数刺し傷があった。じわじわといたぶり殺した。それから強盗犯に見せかけるため、観音像を盗んだ」

根津が提供した青洲の遺体は、写真を思い出すだけで、吐き気がするほど、惨たらしい殺し方だった。明らかに怨恨の犯行。

堀田は、足を組み直し、テーブルに置いた写真を手に取った。

「面白い仮説だな」

「仮説じゃありませんよ。盗んだ観音像が、見つかったんですよ。出処はどこだと思います?」

「知るか」

吐き捨てるように芦谷が言う。

「てめえの娘だ、あほ」

広川が、馬鹿にしたように言うと、芦谷は、血相を変え立ち上がった。

「パチンコで相当借金していたみたいですね。五百万やると言ったら簡単に引き渡してくれましたよ。お嬢さん」

「嘘だ」

そんなはずは、ない。誰にも見つからないように隠したんだ。芦谷は、ハッタリだと首を振る。

「子供の頃かくれんぼしていた時に天袋で見たことがあったそうです」

「芦谷っ、全部売り渡したんじゃなかったのかっ」

「す、すみませんっ。一体だけ価値がないと、断られたんです。捨てるわけにもいかなくて・・・・」

堀田は、鬼の形相で芦谷を睨みつけている。噛み合わせた歯をギリギリさせて。

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