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危険な香りに誘われて
第27章 終止符
まんまと罠に嵌められた。奥のテーブルから吉田と一緒に現れた津嶋の組長を見て、悟った堀田は、項垂れ、がっくりと膝をついた。
警官たちが堀田を囲み、腕をつかんで立ち上がらせると、別のテーブルに待機していた根津自らが、堀田に手錠を掛ける。
連行される二人を見て、賢也は、やっと終わったと、小さく息をついた。
「これ、いくらしたと思っているの。高かったのに」
嘆き声にハッと我に返り、振り向くと、裕美がシャンデリアの割れた破片を手にしている。
「買い直せばいいだろう」
広川が裕美の肩を抱く。
「ああ、もうっ。掃除するの手伝って」
「分かった、分かった」
広川たちが、割れたシャンデリアを片付け始めた。
組長は、その様子を見ながら、やれやれと言い、腰を下ろした。
堀田が抜けた今、これから津嶋は、間違いなく荒れるだろう。内部抗争も起きるやもしれん。
傍らに立つ男を見上げる。
賢也は、否定するが、あと数年も経てば、津嶋のトップとして十分通用するだけの男になるだろう。
「このまま続けて、いずれ跡目を継ぐ気はないか」
賢也は、目を細め、笑って肩をすくめた。
「俺は、そんな器じゃありません。それに、ご存じの通り、俺は、この世界が嫌いなんです」
「お前なら腐りかけた津嶋を改革出来たろうに。・・・・残念だな」
「すみません」
組長は、仕方ないと頷いた。
「なあ、賢也。お前が、犯人探しをしていたのは、孝也の為か、それとも逮捕された弟分の為か?」
組長に尋ねられ、賢也は考えた。誰の為だったのか。
「・・・どうでしょう。俺にも分かりません」
ひょっとしたら、自分の為だったのか。
これまで、知らなかった父親の姿を追い求めていたのかもしれない。
警官たちが堀田を囲み、腕をつかんで立ち上がらせると、別のテーブルに待機していた根津自らが、堀田に手錠を掛ける。
連行される二人を見て、賢也は、やっと終わったと、小さく息をついた。
「これ、いくらしたと思っているの。高かったのに」
嘆き声にハッと我に返り、振り向くと、裕美がシャンデリアの割れた破片を手にしている。
「買い直せばいいだろう」
広川が裕美の肩を抱く。
「ああ、もうっ。掃除するの手伝って」
「分かった、分かった」
広川たちが、割れたシャンデリアを片付け始めた。
組長は、その様子を見ながら、やれやれと言い、腰を下ろした。
堀田が抜けた今、これから津嶋は、間違いなく荒れるだろう。内部抗争も起きるやもしれん。
傍らに立つ男を見上げる。
賢也は、否定するが、あと数年も経てば、津嶋のトップとして十分通用するだけの男になるだろう。
「このまま続けて、いずれ跡目を継ぐ気はないか」
賢也は、目を細め、笑って肩をすくめた。
「俺は、そんな器じゃありません。それに、ご存じの通り、俺は、この世界が嫌いなんです」
「お前なら腐りかけた津嶋を改革出来たろうに。・・・・残念だな」
「すみません」
組長は、仕方ないと頷いた。
「なあ、賢也。お前が、犯人探しをしていたのは、孝也の為か、それとも逮捕された弟分の為か?」
組長に尋ねられ、賢也は考えた。誰の為だったのか。
「・・・どうでしょう。俺にも分かりません」
ひょっとしたら、自分の為だったのか。
これまで、知らなかった父親の姿を追い求めていたのかもしれない。