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危険な香りに誘われて
第5章 虎の真紀
「聞こえるか。真紀のいやらしい音」

「んんっ。だめ、それ以上しちゃだめーっ」

真紀の高揚した顔をみて、賢也の膨らんだ欲望が早く犯せと叫んでいる。もう、我慢出来ない、限界だ。

片手で真紀を抱え上げ、自分の部屋へ連れ込もうとドアノブに手を掛けた時。

隣の部屋からピッピッピッ・・・ピピッピピッピピッピピッピーピーッピーッとアラームの音。
真紀のセットした目覚ましが鳴り響いている。
だんだん音は大きくなっていき、真紀の意識を現実の世界へ引き戻した。

「あっ、仕事。行く用意しなきゃ。下ろして、賢也」

足をバタつかせている真紀を仕方なく解放。苛立ちの声を上げた。

「くそっ。起きたら目覚ましくらい止めとけよっ」

真紀は、足首に引っかかっていたショーツとショートパンツをグイッと引きあげた。

「もう、ホントに油断も隙もないんだからっ」

逃げるように部屋へ入り、ベッドの枕元に転がった目覚ましを手にとった。

「・・・・ふぅ、やばかった」

心臓が、ドキドキしている。
賢也が触れた胸に手を乗せ、目を閉じた。
今まで、胸を触られても感じたことなんてなかったのに。
恥ずかしいほど、濡らしてしまった。


アラームが鳴らなければ、きっと、最後までしていた。

賢也に迫られたら、逃げられなくなってしまう。

どんなに口で、嫌だと言っても。


もっと触れて。


もっと感じさせて。


体は、賢也を求めている。


抱かれたら最後、賢也から離れられなくなりそうで。


怖い。






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