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危険な香りに誘われて
第5章 虎の真紀
ダイニングに朝食が並ぶ。
出汁巻玉子、菜の花の辛し和え、大根サラダ、野菜たっぷりの味噌汁。硬めのご飯は、まさに自分好み。
感心するのは、手際の良さ。
無駄な動きはなく、短時間で用意した。
鍋で米を炊き、その合間におかずを作る。
普段からやっていないと、ああは出来まい。
味噌汁は、薄味なのに出汁がきいている。
「美味いな」
「本当?良かった」
前の男もこれを食っていた。
一緒に住んでいれば、当然か。
なんか、面白くねぇ。ひょっとして、この味も前の男の好みなのか。
「もう少し、濃い味でもいいけどな」
「そう?千佐直伝の味付けなんだけど、気に入らなかった?」
「千佐ちゃん?」
「うん。千佐、子供の頃から家の事情で家事担当でね。だから、家に遊びに行った時とか一緒に手伝ったりして、色々覚えたの。物足りないかもしれないけど、体のこと考えれば薄味がいいんだよ」
「俺の健康気にするのか」
「だって、賢也って、ウイスキーも焼酎もロックだし、量も半端なく飲むでしょう。少しは、自分の体労わりなよ」
二人で外食した夜のことを言っているのだろう。行きつけの鮨屋を出たあと、BARへ誘った。
ハイペースで飲む賢也を見て「飲み過ぎだよ。体に悪いよ」と真紀が言っていたことを思い出した。
賢也は、お椀に口をつけた。
優しい味がする。
真紀と同じ。
「そうだな」
真紀の愛情がこもっている。
賢也は、嬉しさをかみしめた。
どんな高級料理も真紀の手料理には、敵わない。
「・・・・美味いよ」
「無理しなくても」
「や、マジで美味い」
「だって、さっき」
「あれは、しょうもねぇヤキモチだ」
出汁巻玉子、菜の花の辛し和え、大根サラダ、野菜たっぷりの味噌汁。硬めのご飯は、まさに自分好み。
感心するのは、手際の良さ。
無駄な動きはなく、短時間で用意した。
鍋で米を炊き、その合間におかずを作る。
普段からやっていないと、ああは出来まい。
味噌汁は、薄味なのに出汁がきいている。
「美味いな」
「本当?良かった」
前の男もこれを食っていた。
一緒に住んでいれば、当然か。
なんか、面白くねぇ。ひょっとして、この味も前の男の好みなのか。
「もう少し、濃い味でもいいけどな」
「そう?千佐直伝の味付けなんだけど、気に入らなかった?」
「千佐ちゃん?」
「うん。千佐、子供の頃から家の事情で家事担当でね。だから、家に遊びに行った時とか一緒に手伝ったりして、色々覚えたの。物足りないかもしれないけど、体のこと考えれば薄味がいいんだよ」
「俺の健康気にするのか」
「だって、賢也って、ウイスキーも焼酎もロックだし、量も半端なく飲むでしょう。少しは、自分の体労わりなよ」
二人で外食した夜のことを言っているのだろう。行きつけの鮨屋を出たあと、BARへ誘った。
ハイペースで飲む賢也を見て「飲み過ぎだよ。体に悪いよ」と真紀が言っていたことを思い出した。
賢也は、お椀に口をつけた。
優しい味がする。
真紀と同じ。
「そうだな」
真紀の愛情がこもっている。
賢也は、嬉しさをかみしめた。
どんな高級料理も真紀の手料理には、敵わない。
「・・・・美味いよ」
「無理しなくても」
「や、マジで美味い」
「だって、さっき」
「あれは、しょうもねぇヤキモチだ」