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危険な香りに誘われて
第5章 虎の真紀
仕度を終え出掛けようとした真紀は、もう一度鏡をのぞいた。
首にまいた淡いベージュの春物ストール。
賢也のキスマークと噛み跡が、ちゃんと隠れているか気になって仕方ない。
噛みつくなんて、猫みたいだ。
昔、実家で飼っていた猫を思い出した。
気の荒いオス猫で、甘えてきたかと思ったら、突然足に飛びかかって、噛みつく。
ストールの先を掴み真紀は、首を横に振った。
「猫なんて可愛いもんじゃない。もっと大きくて獰猛な・・・・」
頭の中にイメージしたのは。
虎。
危険で、近寄るのも怖いのに魅力的。
まさに虎。
真紀は、クスッと笑った。
玄関で靴を履こうとしていると、気配を感じ視線を上げた。
「どうしたの」
「見送ってやろうと思ってな」
一段低い位置から見上げる賢也は、さらに大きく見える。
「ふーん」
「真紀」
「なに」
「お前、ピル飲んでる?」
肩からずり落ちたバッグが足元に落ちた。
いきなり、何を言うんだ、この男は。真紀は、たじろいだ。
「なっ、なんでよっ」
「聞いているだけだ」
「そんなの飲んだこともないわっ」
壁に身を寄せ逃げ腰の真紀に賢也は、拾ったバッグを差し出す。
「分かった。んじゃあ、そっちは俺が用意しとくわ」
「なっ、なんで、そんなものがいるのよ」
首にまいた淡いベージュの春物ストール。
賢也のキスマークと噛み跡が、ちゃんと隠れているか気になって仕方ない。
噛みつくなんて、猫みたいだ。
昔、実家で飼っていた猫を思い出した。
気の荒いオス猫で、甘えてきたかと思ったら、突然足に飛びかかって、噛みつく。
ストールの先を掴み真紀は、首を横に振った。
「猫なんて可愛いもんじゃない。もっと大きくて獰猛な・・・・」
頭の中にイメージしたのは。
虎。
危険で、近寄るのも怖いのに魅力的。
まさに虎。
真紀は、クスッと笑った。
玄関で靴を履こうとしていると、気配を感じ視線を上げた。
「どうしたの」
「見送ってやろうと思ってな」
一段低い位置から見上げる賢也は、さらに大きく見える。
「ふーん」
「真紀」
「なに」
「お前、ピル飲んでる?」
肩からずり落ちたバッグが足元に落ちた。
いきなり、何を言うんだ、この男は。真紀は、たじろいだ。
「なっ、なんでよっ」
「聞いているだけだ」
「そんなの飲んだこともないわっ」
壁に身を寄せ逃げ腰の真紀に賢也は、拾ったバッグを差し出す。
「分かった。んじゃあ、そっちは俺が用意しとくわ」
「なっ、なんで、そんなものがいるのよ」