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危険な香りに誘われて
第5章 虎の真紀
賢也は、裸足のまま降りてきて壁に片腕をついた。

「お前も分かってんだろ」

賢也は、意味深な笑みを浮かべ、真紀の耳元に唇を寄せた。

「朝の続き、今夜やるからな」

「なっ」

ストールに指をひっかけ真紀の首をむき出しにして、賢也はそこに唇を押しつけた。
賢也の腕を掴む真紀の手に力が入る。

「んっ」

強く吸いついて所有の証を残す。

「男よけのお守り」

「あんたから守る、お守りが欲しいよっ」

口を尖らせて、賢也の胸を叩いて怒る真紀に。

「今度は、最後までやるから覚悟しとけ」

触れるだけのキスをした。

顔を離した賢也の微笑みを見て、真紀は、生唾を飲み込んだ。


もう逃げられない。

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