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危険な香りに誘われて
第5章 虎の真紀
郁美と別れた真紀は、マンションの近くにあるスーパーへ立ち寄り、夕飯の食材を買った。
肉や野菜を選別しては、カゴへ移す。
賢也が、帰ってくるのは、10時半くらいだと言っていた。
豆腐の味噌汁が飲みたいと言っていたので、小さな豆腐もカゴへ放り込む。
嫁か、私は。
10時半過ぎ、玄関の開閉する音をキッチンで聞き、真紀は、体をビクッとさせた。
リビングの扉を開けた賢也の第一声は。
「鍵掛けていなかったぞ」
目が怒っている。
「うん。だって、賢也まだ帰ってきていなかったから」
「あほかっ。お前のクソど田舎と一緒にすんな。死角の多いマンションていうのは、泥棒や強盗に狙われやすいんだぞ」
「でも、1階の出入り口は、セキュリティーが」
賢也は、鞄をソファに投げやると真紀に近づき、こめかみをゲンコツでぐりぐりする。
「痛い、痛い」
「この小さな脳みそに記憶しとけ。あんなもん、ここの住人が出入りする時を狙えば入ってこれんだよ」
「分かったから、やめてよ」
賢也は、ゲンコツの手を開くと、真紀の腰に腕を回した。
そしてクンクンと匂いを嗅ぎはじめた。
「タバコの匂いがする」
そう言えば、デリカフェで、近くにいた男性が、タバコ吸っていたかも。
「一緒にいたのは、女か」
「よく分かるね」
「他の女の匂いがする」
お前は、犬か。
肉や野菜を選別しては、カゴへ移す。
賢也が、帰ってくるのは、10時半くらいだと言っていた。
豆腐の味噌汁が飲みたいと言っていたので、小さな豆腐もカゴへ放り込む。
嫁か、私は。
10時半過ぎ、玄関の開閉する音をキッチンで聞き、真紀は、体をビクッとさせた。
リビングの扉を開けた賢也の第一声は。
「鍵掛けていなかったぞ」
目が怒っている。
「うん。だって、賢也まだ帰ってきていなかったから」
「あほかっ。お前のクソど田舎と一緒にすんな。死角の多いマンションていうのは、泥棒や強盗に狙われやすいんだぞ」
「でも、1階の出入り口は、セキュリティーが」
賢也は、鞄をソファに投げやると真紀に近づき、こめかみをゲンコツでぐりぐりする。
「痛い、痛い」
「この小さな脳みそに記憶しとけ。あんなもん、ここの住人が出入りする時を狙えば入ってこれんだよ」
「分かったから、やめてよ」
賢也は、ゲンコツの手を開くと、真紀の腰に腕を回した。
そしてクンクンと匂いを嗅ぎはじめた。
「タバコの匂いがする」
そう言えば、デリカフェで、近くにいた男性が、タバコ吸っていたかも。
「一緒にいたのは、女か」
「よく分かるね」
「他の女の匂いがする」
お前は、犬か。