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危険な香りに誘われて
第6章 男の嘘
千佐子が心配するのも無理はない。

「信じたい」

「真紀」

「確かに強引で、めちゃくちゃなところもあるけど。賢也は、私を一番大事だって言ってくれた。その言葉を信じたい。ごめん、千佐」

「好きなの?」

どうしようもないくらい、賢也に惹かれている。多分、声を掛けられたときから。ずっと意識していた。好きなんて言葉では言い表せない。例えるなら。

「合縁奇縁なの」

「は?」

千佐子は、眉間にシワを寄せ、首を傾げた。

「そうなる運命だってこと」

「浮気されたら、どうすんの」

「怒る、殴る、蹴る。玉なしにしちゃうかも」

玉をもぎ取るように手を動かす真紀を見て、千沙子は吹き出した。

「分かった。じゃあ、その時は、私も呼んで。飛んで行って、顔をひっかいてやるから」

千佐子は、爪を出す猫の真似をして見せた。

「千佐、ありがとう。私も千佐に何かあったら、飛んでいくからね」

「ありがとう」

心配してくれて、ありがとう。
幼馴染で親友の千佐子に、真紀は感謝した。

「千佐、これからもずっと仲良くしてね」

「もちろん。真紀は、一生大事な親友だよ」


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