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果てのない海に呑まれて
第11章 救い
その子は手が震えるのを抑えるようにギュッとオレンジの皮を握り締めた
「ニ……ニノ」
「そうか」
ミゲルは少ししゃがんでニノに視線を合わせる
そして無表情のまま口を開いた
「ニノ」
「なっなんだよっ」
「お前、誰の手から物を盗ったか分かっているのか」
「……?」
眉を寄せるニノにミゲルは更に続ける
「俺たちはファルツ家の人間だ」
「……っ」
ニノがはっと息を呑む
「お前、孤児だな?」
「だ、だったら何だよ! 言っとくけどな、ファルツなんかぜんっぜん怖くないぞ! このオレをどうにかできるってんならやってみやがれ!」
「こんなものにまで手を出そうとした割りに元気がいいな」
ミゲルは少しだけ笑うとニノの手からオレンジを取り上げて遠くへ放ってしまった
「来い。どうにか出来るかどうかは屋敷で決めてやる」
「えっ、屋敷……って?」
「ファルツの屋敷だ」
その言葉に、今まで虚勢を張っていたニノもさすがに蒼ざめる
リリアもその対応には口を挟まずにはいられなかった