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果てのない海に呑まれて
第11章 救い
「たった一回、それもゴミよ!? それだけなのにそんな小さい子に一体何をしようっていうの!?」
「俺たちにとってはゴミでもコイツにとってそうでないならそれは窃盗だ。コイツだってそれを分かっていてやったんだ。だから相応の罰を受けさせる」
「罰って……」
「ファルツ家の為に働かせる」
予想外のことにニノもリリアも唖然とする
「働くって……」
「なんだ不満か? 使用人として働き使用人の部屋に住んで使用人の食べ物を腹に入れるのは」
「……」
皮肉気な言い方をしているが意味ははっきりしている
ニノの表情が変わった
「オレ……」
「分かったらさっさと行くぞ」
「わっ!」
ミゲルは軽々とニノを持ち上げると、肩に担いでリリアの前を歩き出した
「降ろせ! 自分で歩ける!」
「駄目だ。逃げたら困るからな」
「逃げねえよ!」
「暴れるな。余計腹が空くぞ」
ニノはそれでもなお喚き続ける
そんな子供を相手にするミゲルの意外な一面にリリアはクスリと笑った
「貴方って、そんなこともするのね」
「別に俺だけじゃない。ファルツ家に仕える者は大体がこういう対応を取るだろう。
それは他の市民の生活を守る為でもあるし、自分がそうされたからでもある」